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まだ、そのときではなかった(2025年6月25日発行)

まだ、そのときではなかった

法人を立ち上げたばかりの頃、各所に事業の相談をして回っていました。

地元の支援機関や行政、関係者の方々と話すなかで、何度かこんな言葉をかけられました。

「最近はクラウドファンディングを使う団体も増えていますよ」

「地域に向けた発信としても、有効かもしれませんね」

どれも、まっとうなアドバイスだったと思います。

実際、僕たちもクラウドファンディングを「やらない」と決めていたわけではありません。

ただ、その時点で「すぐに始める」という選択は、僕たちの構想の中にはありませんでした。


構想というより、順序の話

その頃すでに、僕たちの中にはひとつの流れがありました。

自治体と利用を約束できていた旧蘭留小学校の校舎を拠点に、まずは地域の方々と接点をつくるイベントを行うこと。

そのうえで、初めて支援を募る。クラウドファンディングは、その後に置かれるものだと考えていました。

それは壮大な構想というより、「順序」の問題でした。

何かを伝えようとするとき、順序を飛ばしてしまうと、うまく届かないことがある。

それはロジックの話というより、関係性が立ち上がるまでの時間の話だと思っています。


「まだ」という感覚

融資の相談をした際にも、似た場面がありました。

事業計画書にイベントやクラウドファンディングの予定を記載していたため、
「クラウドファンディングもお考えなんですね」と尋ねられました。

「はい。ただ、まだ実施時期は決めていません」

この「まだ」という言葉に、自分たちの感覚が集約されていたように思います。

支援を募るとき、何を、どのように差し出すのか。

それは自分たち自身で設計しておきたい。

それが、応援の声を受け取るための最低限の“構え”だと感じていました。


外からの問いが、地図を確かめてくれた

「クラファン、やらないんですか?」という問いに、戸惑いはありませんでした。

むしろその問いは、僕たちがすでに描いていた“地図”を、あらためて確かめさせてくれるものでした。

外からの声に流されるのではなく、
自分たちが信じていた順序を、もう一度なぞり直す。

それもまた、問いに対して丁寧に応えるということだったのかもしれません。

その後、僕たちはあらためて「応援の仕組み」を差し出す準備を進めていきました。

どんな構えで、どんな問いに応えていくのか。

この判断が、正しかったかどうかは、まだわかりません。

でも少なくとも、あのときは――
まだ、そのときではなかった。


※本稿は、メールマガジン「この判断で、よかったか?女子フットサルクラブの『経営』と『感情』の実録」の記事をWOELFE PACKメンバー向けに再編集したものです