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まちに火をともす、という試み(2025年8月13日発行)

人口187人の地域に、延べ897人が訪れました。

2024年9月、北海道・比布町の旧蘭留小学校を会場に「らんるまつり2024」を開催しました。

主催したのは、まだ所属選手が一人もいない女子フットサルクラブです。

このイベントには、地域の名前とあわせて「まつり」という言葉を冠しました。


この場所でやる意味

比布町と協定を結び、旧蘭留小学校の利活用を進めてきた僕たちにとって、この場所でイベントを開くことは、単なる催しではありませんでした。

クラウドファンディングと補助金を組み合わせ、数百万円規模の資金を設計する。

そのうえで、まち・都市・クラブ・支援者の関係性を、どのように結び直せるのか。

このイベントは、小さなスケールで試す「仕組み」の実験でもありました。


関係を分けない設計

教室には展示があり、廊下では物販が行われ、昇降口には受付がありました。

体育館ではアクティビティが行われ、ダンスやけんだまの場面も生まれていました。

来場者は、作品を見て、お茶を飲み、子どもと遊び、ボールを蹴る。

それぞれが、どこかで誰かと重なりながら滞在していく。

空間は分かれていても、関係性は分けなかった。

この日、明確な主役はいませんでした。


創作者たちが持ち込んだもの

この日、校舎には多くの創作者の表現が並びました。

SUGURU MIZUMASA(イラストレーション)、蘭鳳(書道)、西村公一(ハート)、すずきらな(黒板アート)、リバースサルベージアンダーグラウンド(複合アート)、野村俊也(竹細工)、David Prentice(絵画)。

書のライブパフォーマンス、竹細工の展示、けんだま体験、ダンスバトル。

作品と遊びと対話が、校舎のなかで混在していました。


選手がいないクラブがつくった光景

この時点で、ヴォルフェ北海道には所属選手がまだ一人もいませんでした。

それでも、トップレベルの女子フットボーラーたちがこの地域に集まってくれました。

現役Fリーガー、元プロサッカー選手、地元の中学生プレーヤー。

そして、当時YouTube登録者200万人を超えていた「あしざるFC」。

彼女たちはプレーするだけでなく、展示を見て、飲食を楽しみ、来場者と同じ空間を過ごしていました。

誰かを「迎える」のではなく、誰かと「場を共有する」。

その時間が、確かにそこにありました。


一日で終わらせないために

おまつりは、一日で終わりました。

けれど、残ったのは関係性だけではありません。

会場構成の型、委託と役割分担の枠組み、アーティストとの連携。

そして、地域にとっての「おまつり」とは何なのかを、あらためて問い直す機会。

将来の開催や、展示作品の販売・事業化の動きにも、少しずつつながり始めています。

これは、一過性の盛り上がりではなく、「関係が仕組みになり得るか」を確かめる試みでした。


判断を、記録として残す

この「おまつり」は、関係をつくる場であると同時に、クラブにとっては決して小さくない挑戦でした。

なぜこの形にしたのか。

どう資金を集め、何に配分したのか。

「成立させる」という視点で設計した判断の数々。

それらを、記録として残しておきたいと思いました。

思い返すたびに、「あれは、まちに火をともすための時間だった」と感じます。

その火がどこまで届いたのか。

あるいは、すでに消えてしまったのか。

次に誰かがこの場所を訪れたとき、確かに温度が残っているように。

いつでもこの判断を思い出せるように、ここに書き留めておきます。


※本稿は、メールマガジン「この判断で、よかったか?女子フットサルクラブの『経営』と『感情』の実録」の記事を、WOELFE PACKメンバー向けに再編集したものです