SPOART GATEとNoMaps2025(2025年9月3日発行)
2025/09/03「スポーツとアートが交わったら、どんな景色が生まれるのか。」
この問いは、ずっと僕たちの足元にありました。
スポーツは、競技の内側だけで完結することもできます。
勝敗、スコア、ランキング。
その世界に集中することも、もちろんひとつの在り方です。
けれど、地域や文化と重なったとき、スポーツはまったく別の力を持ち始める。
廃校となった校舎を拠点にしたときも、地域のおまつりに参加したときも、そこには勝敗を超えた「関係の力」が確かに生まれていました。
僕たちが「スポーツ×アート」という構えを選んできたのは、クラブを競技組織として閉じるのではなく、人と人がつながる関係の場として開きたかったからです。
NoMaps2025という舞台
今年、その実践の場として選んだのが NoMaps2025 でした。
札幌の街全体を舞台に、映画・音楽・テクノロジー・まちづくりなど、多様な領域が交わる「未来の実験場」。
その文脈の中で、僕たちは「SPOART GATE × ヴォルフェ北海道」というかたちを選びました。
会場展示、ストリート・フットボール・ケージの装飾、コラボレーショングッズ。
それらに用いるアート作品を、全国から公募する。
この挑戦を、アートコミュニティ #c7 Gallery とともに進める判断をしました。
筋が通らないように見える選択
フットサルクラブが、アート作品を公募する。
一見すると、筋が通らない選択に見えるかもしれません。
応募がゼロで終わる可能性。
テーマが伝わらない可能性。
運用上の負債を抱える可能性。
経営としてのリスクは、決して小さくありませんでした。
それでも、自分たちの外側にある視点を受け止めることが、未来をひらくうえで欠かせない。
そう考え、#c7 Gallery とともに扉を開きました。
23の視点が集まったという事実
結果として、23作品が集まりました。
これは、ヴォルフェ北海道の成果というよりも、#c7 Gallery と SPOART GATE が積み重ねてきた対話の結実だと思っています。
呼びかけを広げ、つながりを保ち続けてくれた仲間がいたからこそ、ここに届いた景色です。
直線で規範を描くもの。
光と色で未来を示すもの。
生成の反復をあえて見せるもの。
手の痕跡に重みを託すもの。
アプローチは違っても、赤と白の対置、ボール軌跡の線化、「W」や狼の匿名化といった共通の輪郭も浮かび上がっていました。
多様でありながら、どこかでつながっている。
この問いは、空想ではなかった。
イベントはまだ始まっていませんが、そのことを実感できただけでも、大きな手応えでした。
集めて終わらせない
安堵と同時に、強く感じたのは責任でした。
集めて終わりではなく、どう見せ、どう出会わせ、どう継承していくのか。
会場展示では、視線の高さや滞在時間、音と動きの混ざり方をどう設計するか。
ケージ装飾では、外からの視線と中のプレーをどう結びつけるか。
グッズでは、作者の意図と権利を尊重しながら、関係の持続性をどう形にするか。
ここから先は、ヴォルフェ北海道と #c7 Gallery がともに引き受けていく運用の判断です。
判断を、協働として残す
今回の「公募」は、ヴォルフェ単独の決断ではありません。
#c7 Gallery と共有した、協働の判断です。
一次選考をコミュニティで行い、二次選考を特別審査員が担う。
このプロセスそのものが、「外側の声を取り込み、関係の網目で決める」という SPOART GATE の思想を体現しています。
最終的に選ばれる7作品は、「代表作」ではなく、これから関係がひらかれていく節点として扱いたい。
選外となった作品にも、必ずリスペクトを返す導線を用意する。
そのことも含めて、この判断を記録しておきます。
時間が経ったとき、この協働を「よかった」と言えるかどうか。
いま、その問いの中にいます。
※本稿は、メールマガジン「この判断で、よかったか?女子フットサルクラブの『経営』と『感情』の実録」の記事を、WOELFE PACKメンバー向けに再編集したものです