プレビューモード

未来(2025年9月10日発行)

《未来》という二文字を初めて目にしたとき、僕たちは自然と立ち止まりました。

それは旗印でも、スローガンでもありません。

「ここから共に歩み始めた」という実感を、そっと形にしたもの。

その感覚は、いま振り返ってみても、とても静かで、確かなものでした。


らんるまつりという時間

2024年9月、北海道・比布町で「らんるまつり」を開催しました。

ヴォルフェ北海道として、自治体と協働し、本格的に取り組んだ初めての大きなイベントです。

当時、クラブにはまだ所属選手が揃っていませんでした。

それでも、「クラブを地域とどうつなげるか」という問いを後回しにせず、先に手を伸ばす判断をしました。


出会いが、確信に変わるまで

準備の過程で出会ったのが、書家・蘭鳳さんでした。

やり取りはオンラインが中心でしたが、言葉の端々から伝わってくる誠実さと熱に、何度も背中を押されました。

「応援してくれている」という感覚は、やがて「共に歩める」という確信へと変わっていきました。


体育館に生まれた静けさ

らんるまつり当日。

旧蘭留小学校の体育館には、大きな白紙が床いっぱいに広げられていました。

外では屋台や人の声が行き交うなか、体育館の中だけは、不思議なほど静かな空気が流れていました。

蘭鳳さんが筆を構えた瞬間、会場の呼吸がひとつに揃ったように感じました。

一筆ごとに空気が張り詰め、誰もが線の行方を見守っていました。

やがて現れたのが、《未来》という二文字です。


言葉が持つ時間

「未」は、まだ伸びきっていない若い枝を加えた木の姿。

「来」は、実りや恵みを意味する形。

その二つが重なることで、「まだ果たされていない可能性」と「やがて訪れる恵みへの信頼」が、同時に立ち上がります。

完成の瞬間、体育館に深い息が広がりました。

「終わった」というより、「ひとつの時間を共に通り抜けた」。

そんな感覚が、静かに残りました。


経営の判断として置いた“場”

当時、らんるまつりの運営資金の一部は、クラウドファンディングで集めていました。

限られた資源をどこに配分するか。

クラブ経営において、避けて通れない判断です。

そのなかで、あのライブパフォーマンスのために「場」を割いたこと。

それは短期的な勝敗や成果には直結しません。

けれど、「クラブが地域とどんな回路でつながるのか」という問いに対する、僕たちなりの答えでした。

競技の結果とは別の次元で、関係が生まれる瞬間に立ち会えた。

その実感が、次の仕組みづくりへと、確かにつながっていきました。


《未来》を持つ、ということ

いま、この《未来》は WOELFE PACK の特典として、手に取ることができます。

作品を「所有する」ことが目的ではありません。

勝敗では測れない価値を、手触りのある形で共有する。

そのための媒介として、《未来》を位置づけています。

これは旗ではなく、合図です。

「ここから一緒に歩む」という意思表示。

その先をどう形にしていくかは、これから僕たちと、あなたで紡いでいくものだと思っています。


※本稿は、メールマガジン「この判断で、よかったか?女子フットサルクラブの『経営』と『感情』の実録」の記事を、WOELFE PACKメンバー向けに再編集したものです