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「プロ化」という言葉の重さ(2025年10月15日発行)

最近、旧蘭留小学校の建物を見回しながら、改めて「続ける」ということの意味を考えていました。

屋根の修繕や暖房設備の維持など、目に見える課題も少しずつ増えています。

けれど、それ以上に重く感じるのは「この場所をどう続けていくのか」という問いです。


問いを内包した場所

蘭留(らんる)は北海道比布町にある旧蘭留小学校を活用した拠点です。 女子フットサルクラブ「ヴォルフェ北海道」をはじめ、木製バット工房「KITAKARA」、農業関連事業「イモベーター」など、分野の異なるプレイヤーが同じ建物で活動しています。

体育館や教室、廊下、倉庫といった空間がそのまま残るこの場所で、何をするのか、誰が維持するのか、どんな活動を重ねていくのか。 すべてが手探りの状態から始まりました。

だからこそここは、「何をするか」だけでなく「どう続けるか」そのものが最初から問われている場所です。


現実的な課題

最も大きな課題は老朽化に伴う修繕や設備の維持です。 電気・水道・暖房といったインフラは更新が必要な段階に差しかかっています。

共通インフラに関する費用をどう分担するのか、長期的な資金循環をどのように設計するのか。 これらはこれから少しずつ整えていかなければならないテーマです。

もうひとつは入居者間の連携です。 それぞれが独立した目的を持ちながらも、「この場所全体をどう機能させていくのか」という共通の設計思想はまだ途上にあります。

日々の実務や細かな調整に追われるなかで、拠点としてのビジョンをどう共有していくか。 その問いと今も向き合い続けています。


人と継続の問題

地方にあるという立地上、担い手の確保や後継者育成は簡単ではありません。

ヴォルフェ北海道で言えば選手やスタッフの継続的な関わり、他の事業者にとっては職人や農業従事者の確保が課題になります。

活動を長期的に維持するためには、地域外からの関わり手や協力者を増やす仕組みも必要です。


異質が共存する価値

それでも蘭留には、この場所ならではの価値があります。 異なる分野のプレイヤーが物理的に近接することで、思いがけない協働が生まれることがあるからです。

バット製造の端材を農産物加工に活用したり、地域イベントで共同出展を行ったり。 小さな交わりが新しい試みへとつながっています。

この「異質の共存」こそが蘭留という拠点の可能性を支えています。

廃校という空間を活用することで、かつて学校が担っていた「学び」「関わり」「地域の中心」という機能を別のかたちで再構築することもできています。


目指したい三つの方向

現時点で考えている蘭留の方向性は三つあります。

第一に物理的・資金的な持続性の確保
設備改修やインフラ維持の費用を個別ではなく共同で支えるモデルを設計すること。

第二に運営の透明性と共通ビジョンの形成
「なぜこの場所にいるのか」を共有できる状態をつくること。

第三に人材と外部関係の拡張
地域の内と外をつなぎ、「関わり続けたい」と思える構造を育てていくことです。


続けるということ

あくまで現時点での考えですが、蘭留が目指したいのは単なる建物の維持ではありません。 資金・制度・運営という実務的な側面と、人と人との関係をどう続けていくかという社会的側面。 その両方を含んだ持続可能なコミュニティモデルの構築です。

「続ける」という言葉は、何かを守ることではなく更新し続けることなのかもしれません。

建物を修繕するだけでなく、関係を設計し直しながら続けていく。 その判断を僕たちは今も少しずつ積み重ねています。


※本稿は、メールマガジン「この判断で、よかったか?女子フットサルクラブの『経営』と『感情』の実録」の記事を、WOELFE PACKメンバー向けに再編集したものです。