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つながりのかたち(2026年2月11日発行)

つながりのかたち

旭川を拠点に活動する工房、goodhomemade(グッドホームメイド)。工房が手がけるのは、過度な装飾を削ぎ落とし、使い手の生活に馴染むことだけを追求した「静かな木工品」です。

声高に意味を主張するのではなく、そこにあるだけで空間が整うような不思議な説得力を持つ彼らの作品は、地域に根ざした実直な手仕事から生まれます。

ヴォルフェ北海道は、このgoodhomemadeとともに「つながりのかたち」という作品をつくりました。

旭川、そして比布。この土地を拠点に活動するクラブとして、私たちがまず考えたのは、単に「地域の名産品」を作ることではありませんでした。

重要なのは、この土地で活動し続けるにあたって、私たちは誰を信頼し、どのような距離感で社会と関わっていくべきかという、自分たちの「立ち位置」を明確にすることでした。

最初から明確なプロダクトの完成図があったわけではありません。何を作るかを決める前に、まず私たちはどこに立ち、どのような判断を一つひとつ積み重ねていくべきか。その問いに対する答えを探る過程そのものが、今回、この作品という形になって現れました。


出会いから始まったこと

プロジェクトが動き出すきっかけは、旭川で活動を続ける中で通っていた、一軒のクラフトショップでした。

店主の方に、私たちの率直な想いを伝えました。「この土地で、クラブとして何かを形にしたい。それは単発のイベントで終わるものではなく、この場所に流れる時間の堆積をしっかりと引き受けるような、持続的な関わりであってほしい」と。

店主の方はしばらく思案したあと、「ちょうど思い当たる人がいます」と、ひとりの職人の名前を挙げてくださいました。それが、goodhomemadeとの出会いです。

後日訪ねた工房は、静かで、それでいて職人の意志が隅々まで行き渡った濃密な空間でした。その場に流れる空気の質を感じたとき、言葉を尽くすまでもなく、この出会いが必然であったことを確信しました。


端材を、暮らしの道具へ

今回の作品に使用した素材は、比布の地で一本の野球バットを削り出す過程で生まれた「端材」です。

本来、バットとしての形を成さなかった木片は、そのままでは用途を終えた「残りもの」に過ぎません。しかし、その小さな欠片には、膨大な時間が層を成して重なっています。

北海道の森で育まれた年月。人の手によって選別され、アスリートの道具という極限の形を目指して削り取られた、その瞬間の集積。

私たちは、この端材を暮らしの中で使われる道具へと転換する判断をしました。

これは、あらかじめ用意された「エコ」や「物語」を後付けしたものではありません。素材を手に取り、その手触りや表情を見つめ、職人と対話を重ねる中で、「これをどう扱うのが最も誠実か」を一つひとつ決めていった結果です。

そうして生まれたのが、この「つながりのかたち」です。


土地の仕事の来歴の上に立つ

「つながりのかたち」を共につくったgoodhomemadeは、旭川の老舗「ササキ工芸」で長年研鑽を積んだ職人が独立して構えた工房です。

ササキ工芸もまた比布で産声を上げ、現在は旭川を拠点に、木工の可能性を広げ続けている企業です。

先日、私は東京の銀座三越を訪れました。比布で生まれ旭川で磨き抜かれてきた技術が、日本の中心地である銀座という場所で、目の肥えた客層に選ばれている。その事実に触れ、私自身も一人の客としてその品を手に取りました。

比布で生まれ、旭川で続いてきた仕事。その技術の系譜の延長線上に、goodhomemadeがあり、そしてこの「つながりのかたち」があります。

銀座で見た景色と、私たちが工房で見た景色は、同じ一本の線でつながっています。この作品は、そうした土地の仕事の来歴の上に立っているのです。


説明し尽くさずに、残すもの

「つながりのかたち」という作品を前にして、私たちはあらためて言葉の無力さと豊かさを想っています。

背景にある歴史や事実を並べることは容易かもしれません。しかし私たちが真に届けたいのは、データとしての情報ではなく、この素材を生んだ土地への敬意と職人の指先が紡ぎ出した切実な体温です。

すべてを説明し尽くすのではなく、作品そのものに語らせること。それがこの土地の記憶を預かる私たちの責任だと感じています。

土地があり、営みがあり、人がいる。その連なりのなかで、私たちはどのような判断を下し、何を選び取っていくのか。この作品は、その問いに対する現時点での、精一杯の誠実なかたちです。

この静かな灯を絶やさぬよう、ヴォルフェ北海道はこれからもこの土地とともに歩み続けます。


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