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考えることから逃げない集団(2026年2月18日発行)

考えることから逃げない集団

ヴォルフェ北海道を立ち上げた当初、仲間と共通で読む書籍を三冊、設定しました。

『スポーツマンシップバイブル』(中村聡宏著)
『教えないスキル』(佐伯夕利子著)
『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』(長尾彰著)

読む。感想を書く。話し合う。

この循環を、クラブの前提にしようと考えました。

扱っているのは、人としてどうあるか、指導はどうあるべきか、チームはどう設計するかという思想です。

現在、その取り組みが全関係者に浸透しているとは言えません。

選手の中には伝えている者もいますが、伝えていない者のほうが多いのが実情です。


先に固定したかったもの

三冊を設定した理由は、勝ち方を共有するためではなく、技術の基準を揃えるためでもなく、クラブとして「どう存るか」を先に固定したかったからです。

尊重や勇気、覚悟といった態度。

自律を前提にした育成の考え方。

今いる仲間で最大化するという設計思想。

これらは、結果よりも前に置くべき土台だと考えました。

スポーツは行動の世界です。

しかし思考を伴わない行動は再現性を持ちません。

勝ったとしても、負けたとしても、そこに思考がなければ、積み上がらない。

そう考えたため、クラブの初期設定として、この三冊を置きました。


求めたい気持ちと、ためらい

時間が経つ中で、この取り組みが自然に広がるわけではないことが見えてきました。

読むかどうかは任意。感想を書くかどうかも任意。話し合いも、制度として組み込んでいるわけではありません。

その結果、浸透の度合いには差が生まれました。

本当は、もっとはっきりと求めたい気持ちがあります。

思想を共有している状態をクラブの前提にしたい。

しかし同時に、強く求めることで壊れるものがあるかもしれないという躊躇もあります。

重いと受け取られる可能性。リーダーとしての影響力が試される可能性。そして、もっと単純に、否定されることへの怖さ。

一方で、何も求めずに時間が過ぎ、思想が空気のように薄まっていく未来を想像すると、それもまた受け入れがたい。

選手の姿勢に対して、苛立ちを覚える瞬間がないわけではありません。

ただ、それは「考えていない」と断じられるほど単純な話ではありません。

人生にはそれぞれの事情があり、時間の使い方もエネルギーの配分も人によって違う。フットサルが常に最優先であるとは限らない。

その背景には、本人の努力だけでは変えられない環境や、入り組んだ構造があることも理解しています。

それでもなお、思考を伴う行動を求めたい自分がいる。その揺れが、いまの正直な状態です。

その奥にあるのは、「もったいない」という感覚と、それ以上に思想を守らなかった自分になることへの怖さかもしれないと感じています。


強制ではなく、隠さずに求める

思想を薄めたくはありません。

けれど強制して成立する思想にもしたくない。

三冊が扱っているのは、尊重や自律、対話といった態度です。

それを押しつける形で浸透させることは、本来の趣旨と矛盾します。

一方で任意のままにしておけば、時間とともに優先順位は下がり、文化としては定着しない可能性も高い。

ではどう扱うのか。

いまのところ、強制はしない。しかし、求めることは隠さない。

覚悟を持ったうえで「選ばれる文化」にする。

考えることから逃げない姿勢をクラブの前提として明示する。

それを選ぶ人と進む。

そう整理しつつあります。

ただ、この判断が本当に適切かどうかはまだ断言できません。


読み終えることより、逃げないこと

読書そのものが目的ではありません。

三冊を読んだかどうかよりも、考えることから逃げない姿勢があるかどうか。

行動することは前提です。

しかし、行動だけでは積み上がらない。

思考を伴う行動を、自分の言葉で選び取り、引き受ける。

そうした集団でありたいと考えています。

それを強制するのではなく、明確に示したうえで選ばれる文化にしていく。

嫌われる可能性も、影響力が試される可能性もあります。

それでも、何も求めずに思想を薄めていくよりは、求めたうえで残る形を選びたい。

この判断で、よかったか。

まだ途中ですが、いまはそう考えています。


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