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作って終わりにしないために(2026年6月10日発行)

作って終わりにしないために

ヴォルフェ北海道では、今シーズンに向けたジャージ制作が進んでいます。

スポーツチームにとって、ジャージを作ること自体は珍しいことではありません。

ただ、小さなクラブにとっては思っている以上に大きな出来事でもあります。

どんな色にするのか。どんな空気をまとったものにするのか。

サイズを確認したり、番号を決めたりしながら、少しずつ「今年のチーム」の輪郭が見えてくる。

同じ服を着るということには、やはり意味があります。

試合の写真にも残るし、あとから振り返ったときに「この時期だったな」と思い出すきっかけにもなる。

ジャージそのものというより、その時間ごと記憶に残っていく感覚です。

だから、僕自身こういう時間は嫌いではありません。

スポーツクラブをやっている感じがする時間でもあります。


“消費されていくもの”という感覚

一方で、ジャージ制作について考えていると、少しだけ引っかかる感覚もありました。

スポーツウェアは毎年作られます。

シーズンが変わればデザインも変わるし、スポンサー表記も変わる。選手が増えたり減ったりすれば必要な枚数も変わる。

それ自体はごく普通のことです。実際、僕たちもその前提の中で活動しています。

ただ、同じ服を着ることに意味があるからこそ、その服が“消費されていくもの”でもあるという感覚は、どこかに残っていました。

もちろん、だから何かを否定したいわけではありません。

スポーツウェアは必要です。競技として活動する以上、機能性も必要になる。

ただ、せっかく自分たちで作るなら、少しでも納得できる形に近づけたいという感覚は最初からあった気がします。


素材より先の話が増えていった

そんなタイミングで、ある素材と偶然出会いました。

話を聞く中で知ったのが、“土に還る特殊ポリエステル”という素材でした。

最初は単純に面白いと思いました。

環境配慮をうたうだけではなく、競技利用も前提に考えられている。スポーツウェアとして成立する可能性があることも含めて、興味を持ちました。

ただ、不思議だったのは、その素材について知れば知るほど、逆に簡単に扱えなくなっていったことです。

“土に還る”とはどういうことなんだろう。

もし回収されなかったら。もし普通に捨てられたら。

素材だけが存在しても、それは本当に循環と言えるんだろうか。

気づけば、ジャージそのものよりも、その先の話をする時間が増えていました。


女子フットサルクラブが、回収の話をする

ジャージを作る話を通じて、素材の回収の話をしていました。

地域の中で循環させるにはどうしたらいいのか。使い終わったあと、どこへ行くのか。誰が受け取るのか。

地域の店の方と話したり、ものづくりの文脈を持つ人たちと話したり。

「女子フットサルクラブがなぜそんな話をしているんだろう」と思う人もいるかもしれません。

しかし、それはど真ん中で、僕がヴォルフェを介してやりたいこと、やりたかったことです。

作ること。

着ること。

使い終わること。

その全部が、少しずつ繋がって見え始めています。


まだ完成ではなく、途中経過として

もちろん、まだ完成しているわけではありません。

実際にどこまで回収できるのか。運用として成立するのか。コストはどうなるのか。地域の中でどこまで循環として扱えるのか。

まだ決まっていないことのほうが多いです。

だから、今回の話も「こういう取り組みを始めました」と綺麗に発表できる段階ではありません。

むしろ、自分たちの中で判断が少しずつ変わっていく途中です。

偶然ある素材と出会って、その話を聞いていくうちに具体的な問いが増えていった。

その途中経過を、今回は記録として残しておこうと思いました。

スポーツクラブがどこまで考える必要があるのか。

そこに限界はないと信じています。


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