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消費は、終わりじゃない

消費は、終わりではありません。
その先に、どんな風を生み出せるかで、挑戦が続くかどうかが決まります。

展示が終わったあとにも、静けさの中にかすかな呼吸が残ります。
その呼吸を拾い上げ、もう一度かたちを変えて動かしていく。
それが、わたしたちが考える「作品を纏う」という行為です。

終わりではなく、次の挑戦への呼吸を生むこと。
その積み重ねが、クラブと、地域と、社会を少しずつ前に進めていくのだと思います。


小さな場所からの風

北海道のほぼ真ん中に、旭川という街があります。雪に覆われる季節が長く、屋外でのスポーツには厳しい環境です。けれど、その冬こそが、わたしたちの力を育ててきました。

屋内で行うフットサルは、寒さを越えるために生まれた、ひとつの知恵でもあります。そこに、女子という立場からの挑戦を重ねました。

ヴォルフェ北海道は、「あえての旭川」「あえての女子フットサル」という選択から始まりました。人口が減り、可能性が閉じていく地方で、それでも新しい表現を生み出せるのか。その問いが、わたしたちを動かしています。

小さな場所から生まれる風が、ときに中心を揺らすことがあります。わたしたちは、その風を信じています。


ヴォルフェという選択

ヴォルフェ北海道は、スポーツを「競技」ではなく「社会と呼吸する仕組み」として考えています。強さや結果だけを追うのではなく、この地域で挑戦を続けることそのものを、未来への実験と位置づけています。

小さな拠点から風を送り出すという行為は、いまは華やかな舞台とは対照的です。けれど、その風が誰かの背中を押すこともあります。そしていつか、その風の中心に自分たちが立てるようになりたいとも思っています。

わたしたちは、中心ではなく周縁から世界を見つめるという選択をしました。それは遠い夢を追うための、もう一つのルートです。ひとつのクラブの挑戦が、やがて大きな流れにつながることを信じています。


展示から、日常へ

スポーツとアートが交わる場所から、9つの作品が生まれました。北海道・札幌で開かれた展示の会場には、競技の熱と表現の静けさが、同じ空気のなかにありました。その風景は、わたしたちにひとつの確信を与えました。

展示が終わっても、作品は呼吸を続けています。その呼吸をもう一度日常のなかに取り戻すために、わたしたちは「纏う」というかたちを選びました。

アパレル作品という日常の器の中で、9つの作品はもう一度、別の風として動きはじめています。


「終わりじゃない消費」を考える

わたしたちは、買うことを終わりだとは思っていません。誰かの挑戦を支えるお金の流れが、次の風を生むことがあると考えています。

「いいと思えるものにお金を使う」ということは、ただの取引ではなく、その背景にある思想や努力に、呼吸を送る行為です。作品を手に取る人がいて、その選択がまた新しい挑戦を生み、その挑戦が次の作品を呼び寄せる。 その循環が続くかぎり、消費は終わりではありません。

終わりじゃない消費。――それは、ひとつの経済を、美しさと意志で支えるという選択です。