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交差する刹那の瞬間はいつの時代も by Sentaku(せんたく)

日常のワンシーン

朝、クローゼットを開けたとき、
一枚だけ、光のにじみ方が違う服があります。

白い生地の上を、虹色の線が静かにまたいでいく。
袖を通すと、模様だけではなく、
試合前の緊張や、見えない場所で重なってきた時間まで
うっすらと浮かび上がってくるような気がします。

特別な予定があるわけではない朝。
それでもこの一枚を選ぶ日は、
ほんの少しだけ、自分の「刹那」と向き合う準備ができているのかもしれません。


作品の輪郭

透明なアクリルの奥に、虹色の光がふわりと浮かびあがります。
柔らかく揺れるその光は、勝負の世界で生まれる「刹那」の緊張を閉じ込めたようでもあり、
見ているこちらの呼吸をゆっくり整えてくれるようでもあります。

Sentaku さんがこの作品に託したのは、
“瞬間が永遠を刻む”という、スポーツの本質に近い感覚でした。
積み重ねた時間が、ある一瞬に集約される。その刹那は、時代を超えて変わらない。
その考えを、アクリルと光のレイヤー、そしてAI生成という新しい技術で形にしています。

技術によって生まれた線でありながら、どこか人の体温を帯びて見えるのは、
「AI×スポーツ×アート」という交差点に、Sentaku さん自身のまなざしが確かに宿っているからだと思います。


この作品がつくった時間

札幌のまんなか。
歩行者天国となった大通沿いの道路の中央に、
ストリートフットボール用のケージが据えられていました。

その外側には、応募作品のパネルが帯のように連なり、
さらに横にはタープと展示台が置かれ、
額装された作品と、その説明文が静かに並んでいました。

車の走らない通りを、人々が絶え間なく歩いていきます。
買い物へ向かう人、散歩をする人、子どもを連れた家族。
その自然な流れのなかに、スポーツとアートの空間がゆるやかに溶け込んでいきました。

Sentaku さんの作品も、その帯の中の一つとして置かれていました。
街路の景色のただなかにある「日常の延長」のような展示。
それでも、通りがかる人がふと視線を向ける瞬間があり、
その存在が街に小さな揺らぎをつくっていたように見えます。

ユニフォームを着たヴォルフェの選手たちも、
その風景の一部としてそこに立っていました。
競技のフィールドではなく、
まちなかの道路という開かれた場所で、
作品のすぐそばに選手がいるという光景は、
スポーツとアートが同じ地平に立つことを静かに示していました。

Sentaku さんの作品もまた、
この道路上のひとつの呼吸として、
確かに人々との交わりを生んでいました。


なぜこの作品を“日常へ歩ませる”と決めたのか

応募いただいた 23 点の作品を前に、
本当はすべてを日常へ届けたかった、という思いが最後まで残りました。
それでも、現実には 9 点だけを選ぶ必要があり、
そこには責任と、どうしても消えないもどかしさがありました。

Sentaku さんの「交差する刹那の瞬間はいつの時代も」は、
その 9 点の中のひとつとして、静かに並んでいます。
特別扱いをしたわけではなく、
他の作品より“正解に近い”と判断したわけでもありません。

それでもこの作品を日常へ歩ませたいと思った理由は、
ヴォルフェがいま向き合っている問いと、
この作品が映し出しているものが、
どこか同じ方向を向いているように思えたからです。

スポーツにおける「刹那」は、
短い瞬間でありながら、
積み重ねた時間や意志が立ち上がる場でもあります。
Sentaku さんは、その一瞬を
透明なアクリルと揺らぐ光、そして AI という新しい技術で結晶させました。

その在り方が、今回のテーマである
「交差し、適応し、継承する」の輪郭と
自然に重なって見えました。

展示会場だけに閉じるのではなく、
日常という別の地平でこの光がもう一度立ち上がる姿を見てみたい。
その思いが、この作品を「纏う表現」として選んだ理由です。


終わりじゃない消費

わたしたちは、「買う」という行為を
そこで途切れるものだとは考えていません。

手に取って終わりではなく、
その先にどんな風が生まれるかで、
挑戦が続いていくかどうかが決まると思っています。

今回の取り組みでは、売上の一部が
作品を生み出したクリエイターに還元されます。
小さな一枚を纏うことが、
次の表現を生むための、確かな呼吸になる。

アートとスポーツが重なる現場で生まれた作品が、
まちなかという開かれた場所を経て、
さらに日常へと移る。
その移動のたびに、別の誰かの手に渡り、
小さな意志の連なりを積み重ねていく。

消費は終わりではない。
「誰かの挑戦をともに支える一歩」に変わることで、
その循環は静かに動き始めます。

Sentaku さんの作品が日常に入るということは、
この一連の流れを、またひとつ前へ押し進めることでもあります。
スポーツの刹那と、アートの光と、
街路の風景と、日常の時間が重なりながら、
それぞれの「次」を生むための風が生まれていく。

その風を信じて、
わたしたちはこの一枚を送り出します。


作品名:交差する刹那の瞬間はいつの時代も
作者名:Sentaku(せんたく)

勝負の世界で交わる一瞬は、時代を超えて刹那でありながら永遠に刻まれるものです。 その瞬間には、積み重ねた努力や想いが凝縮され、観る者の心を揺さぶります。 私はその本質を、透明なアクリルという材質に託しました。 虹色に輝く光は、選手たちの情熱や練習の結晶そのものを映し出しています。

そして、この作品は AI 生成という新しい技術で形づくられました。 スポーツとアートが出会い、互いに影響し合いながら進化する姿は、 女子フットサルクラブ「ヴォルフェ北海道」の理念と重なり、 「NoMaps2025」のテーマ “LOSS LESS FUTURE” とも呼応しています。