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つながりのかたち by goodhomemade

記憶を削り出し、日常に添える。
旭川という街を歩けば、どこからか木の香りが漂い、街路樹の隙間に家具工房の看板を見つけることができます。この土地にとって、木工は単なる産業ではなく、長い時間をかけて育まれてきた風景そのものです。

ヴォルフェ北海道としてこの街に立ち、何かを形にしようと考えたとき、私たちの心にあったのは、単に「優れた製品」を作ることではありませんでした。この地域の根っこにある精神を分かち合い、ともに歩んでくれる表現者を探すこと。そんな、人との出会いそのものを目的とした旅のような感覚でした。

ふらりと立ち寄った地元のクラフトショップで、私たちの想いを伝えたとき。 店主の方が少しの沈黙のあと、ちょうど思い当たる人がいます、と一人の職人の名を挙げてくれました。それが、goodhomemadeとの出会いの始まりでした。


声なき木々に、耳を澄ます

初めて目にした作品は、どれも驚くほどに静かでした。 それは、存在を消しているという意味ではありません。過度な装飾を削ぎ落とし、使い手の生活に馴染むことだけを追求した結果として辿り着いた、心地よい沈黙です。 声を張り上げず、意味を押しつけることもない。けれど、そこにあるだけで空間が少しだけ整うような、不思議な説得力がありました。

実際に工房を訪ね、作り手と対話を重ねるなかで、その印象は確かな信頼へと変わりました。 彼らの実直な人柄、そしてスポーツという文化に対する深い敬意。 こちらが身構えるまでもなく、この人と一緒なら、ヴォルフェの思想を形にできる。そう直感するのに、時間はかかりませんでした。


端材という名の、積み重なった時間

今回の作品が生まれる舞台となったのは、大雪山の雄大な姿をのぞむ比布(ぴっぷ)の地です。 そこで一本のバットが精緻に削り出されるとき、どうしても生まれてしまう木片、いわゆる端材が今回の素材です。

本来であれば、役目を終えたものとして、人知れず姿を消していくはずの素材かもしれません。 しかし、その小さな木片には、数え切れないほどの時間が凝縮されています。 厳しい冬を越え、森で静かに呼吸を続けてきた歳月。 人の手に渡り、選別され、バットという形を目指して削り取られた瞬間。 それらすべての記憶が、その木目の一筋一筋に刻まれているのです。

私たちは、その「見送られた時間」をもう一度すくい上げたいと考えました。 「らんる」という場所で共に過ごした時間と、その土地の歴史を吸い込んだ木材が重なり合い、暮らしに寄り添う小さな道具へと生まれ変わる。 それは、捨てられるはずだったものへの再評価ではなく、そこにある「価値」に私たちがようやく気づかされた、という感覚に近いものでした。


振り返れば、そこにあったもの

できあがった作品を手に取ると、木目の流れや柔らかな曲線の中に、森のいぶきと人の手の温もりが同居しているのを感じます。

人と人、あるいは地域と自然。 それらのつながりは、決して作為的に作り出せるものではありません。 目の前の出来事に丁寧に向き合い、ふと振り返ったとき、いつの間にかそこに「在った」と気づくもの。 この作品は、その静かな気づきを、言葉という形ではなく、指先に伝わる柔らかな手触りとして残しています。

ヴォルフェ北海道が、この土地で何を大切にしようとしているのか。

この物語が、手にした方の日常に、小さくとも確かな灯をともすことを願っています。



タイトル:
つながりのかたち

説明:
大雪山をのぞむ比布の地で、一本のバットをつくる過程から生まれた端材。
暮らしの中に寄り添うための小さな木工は、木目の流れや曲線に、森のいぶきと人の手のあたたかさを宿しています。
「らんる」で共に過ごした時間と、地域に根づく木材が重なり合って生まれたこの作品。
それは、人と人、地域と自然を結び合わせる静かな証しです。

Collaboration Craftsman
goodhomemade