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一枚のパーカーと、563円の意味(2025年11月14日発行)

女子フットサルクラブ「ヴォルフェ北海道」は、北海道を拠点に活動しています。

競技としての強さを追いかけると同時に、スポーツを通じて地域や社会にどんな価値を生み出せるのかを考えながら、日々の判断を重ねてきました。

クラブの規模はまだ小さく、全国的な実績があるわけでもありません。

だからこそ、「何を選び、どう積み重ねるか」という一つひとつの判断が、そのままクラブの姿を形づくっていきます。

その判断のひとつが、NoMaps2025で取り組んだ「スポーツとアートの交差点」という企画でした。

展示にとどまらず、表現を日常へとつなげていくこと。

そのテーマのもと、アートコミュニティとともに新しい試みを立ち上げました。

その具体的なかたちが、コラボレーションパーカーです。

展示会場に寄せられた作品を一枚の服にのせ、生活のなかに持ち帰ってもらう。

展示の余韻を日常に広げるための仕掛けとして、この商品を制作しました。


数字を開示するという判断

今回の記事では、そのパーカーをめぐる「お金の話」を記録します。

いくらで販売し、どれだけ差し引かれ、クラブに何が残るのか。

普段は外に出ることのない数字の内側に、どんな判断があったのかを書き残します。

コラボレーションパーカーの販売価格は、税込11,000円です。

まず差し引かれるのが原価です。

仕入れ値は1枚あたり5,937円。

品質を保ち、作品を表現するために必要なコストとして、ここは動かせませんでした。

次に、決済やサイト運営を外部サービスに委ねるための手数料がかかります。

ここで差し引かれるのが約2,000円です。

仕組みに頼る以上、避けられないコストでした。

そして残った金額の中から、クリエイターへの還元として、1,500円(税抜)と消費税を設定しました。

ここには最も迷いがありました。

「もっと還元すべきではないか」

「けれど、クラブの取り分を確保しなければ継続できない」

そのはざまで議論を重ね、最終的に「最低限、継続の一歩を支えられる」と判断した金額です。

こうして精算した結果、クラブに残るのは1枚あたり563円でした。

数字だけを見れば、決して大きな金額ではありません。

それでも、「この563円を託してもらえる」という事実には、それ以上の意味があると感じています。


在庫を持たないという選択

この収支構造の背景には、「在庫を抱えない」という判断があります。

クラブが独自に商品を制作し、在庫を持つ選択肢も検討しました。

その場合、仕入れ価格を抑えられる可能性はありました。

けれど、売れ残りが出れば、そのリスクはすべてクラブが背負うことになります。

創設から間もない段階で、資金的にも人的にもその負担を引き受ける余裕はありませんでした。

そこで選んだのが、受注生産という方式です。

注文をいただいた分だけ制作し、決済や配送は外部サービスに委ねる。

過大なリスクを抱えずに挑戦を続けるための設計でした。

その結果として残ったのが、1枚あたり563円という数字です。

これは「挑戦を続けるために選んだ方法の帰結」だと受け止めています。


買い切りと、継続

パーカーのような買い切りの商品は、分かりやすい応援のかたちです。

一度の購入で、クラブにもクリエイターにも還元が届く。

手に取った人にとっても、「関わった」という実感を持ちやすい方法です。

ただし、その効果は販売期間に限られます。

一方で、クラブの運営には継続的な支えが必要です。

そのために並行して設けているのが、WOELFE PACK という月額制の継続支援です。

毎月の支援が積み重なることで、選手やスタッフが安心して活動を続けるための土台が生まれます。

買い切りと継続。

どちらか一方ではなく、その橋渡しをどう設計していくか。

それが、これからの課題だと感じています。


563円の意味

一枚のパーカーからクラブに届く563円。

この数字を「小さい」と見るのか、「特別」と見るのか。

その意味は、僕たちの取り組みと、関わってくださる人との関係の中で変わっていきます。

僕たちに問われているのは、この563円をどう積み重ね、どう正解にしていくか。

その問いを、これからも記録として残していこうと思います。


※本稿は、WOELFE PACK(月額1,000円〜)向けに配信した記録を、公式サイト掲載用として再編集したものです